「余命いくばくもないので、自分に万が一があったときに安心かどうか改めて確認したい」
収入保障保険に加入しているお客さまから、告げられた言葉に衝撃を受けたことは今でも忘れない。
そのお客さまは自分より、半年ほど早く入社したライフカウンセラーだった。新設の支社で、まだ人数も多くなく、年齢も近かったこともあり、意気投合した同僚。生命保険に対する使命感も強く、よく飲みながら熱く語り合った、言わば同志で、お互いに切磋琢磨する仲。残念ながら、志半ばで退職したが、その後も定期的に連絡を取り合っていて、結婚して子供も生まれたから、保険に入りたいと言ってくれた。
担当を自分にして欲しいという言葉に、うれしかったことを思い出す。2人で一緒に、子供を含めた家族の未来を語り合いながら、ライフコンサルティングをして納得できる内容に仕上がり、「これからもよろしく」の言葉に感じたのは、改めて保障をお預かりする責任の重さ。それから数年経ったある日、「実はがんになってしまって・・・」という衝撃的な告白を受けた。
ライフカウンセラー時代に不摂生はありながらも、健康的なイメージしかなかったことと、年齢的に若いことから驚いたことを今でも良く覚えている。聞けば、背中のほくろと思っていたものが日に日に大きくなり、病院に行ってみたら、がんと診断されたという。それほどステージも進んでいないため、本人も治療に前向きであることが救いだったが、戸惑いは隠せなかった。
入退院を繰り返しながらも、治療に仕事に頑張っていたが、いよいよ余命を悟ったある日、電話で告げられたのが冒頭の言葉だ。2人で一緒にライフコンサルティングをして算出した必要保障額に自信はあったものの、後にも先にも初めての経験であり、不安を抱えながら自宅へ向かう足取りは重かった。当時作成したライフコンサルティングレポートをもとに説明をした結果に対して、「改めて安心できる保険に加入していることが確認できて良かった」と言ってもらえたことは、悲しくも嬉しい複雑な感情に襲われたことが脳裏に焼き付いている。
あれから私はマネジメントにキャリアパスをして、直接お客さまと触れ合う機会は減ったものの、この経験をもとに後輩ライフカウンセラーに指導している。保険で大事なのは出口であり、人は死期を悟った時に保険の重要性に気付くが、その時に保険の見直しをすることはできない、だからこそ、お会いした時にあらゆるリスクに対して解決策として満足できる保険にすべく、ベストを尽くすことが大事であること。仮に、余命間近のお客さまからライフコンサルティングを希望されても、自信を持って、「安心してください、加入している保険がご家族を守ります」と言える対応を常に心がけること。
彼が自分に残してくれたものを忘れずに、これからも伝え続けていきたい。