義母の教え

営業部門:Nさん(40代)男性

初めての保険金支払い手続きは、義母の死亡保険金だった。
ライフカウンセラーになって1年が経った頃だった。

ライフカウンセラーとしてのキャリアは浅かったが、

プロとして、
保険担当者として、
義理の息子として、

責任を持って手続きに努めた。

手続きの時のことは今でも鮮明に覚えている。
私の妻を含め3人の娘も実家にいたときだった。
いつも元気で冗談を言っている義父が、長年連れ添った大切な妻を失い、悲しみに暮れていた。
請求書類に記入する手をときどき止めては、涙を拭う。
思い出話をして、泣きながら笑って、また続きを書く。
時間をかけて丁寧に、心を込めて記入してくれた。
義父の気持ちが痛いほどに伝わってきて、私も3人の娘もみんなで泣いた。

義両親から自分たちの死後整理資金を準備したいと相談があったのはひまわり生命に入社し半年が経過した頃だった。
「高い保険には入れないけど」と笑いながら話していたが、私の仕事を案じての優しさだろう。

それからわずか半年後のことだった。
仕事中に妻から「お母さんが病院に運ばれた。意識がない。」電話がかかってきた。
自宅で倒れているのを帰宅した義父が発見し、すぐに救急車を手配したとのことだった。
そしてその数時間後、義母は亡くなった。
亡くなった日の朝、私の妻と義母はLINEでやり取りし、変わらない様子だったという。
あまりにも突然の死に言葉が出なかった。

死亡保険金の請求手続きをしたのは葬儀などが終わり一段落した頃だった。
義父から「保険に入って1年も経ってないから少ないだろうけど、何割くらい受取れそう?」と問われた。

「期間は関係なく、保障開始しているので満額での支払い予定です。」そう私が答えると、

「そうか、なんだか申し訳ないね。少ししか保険料払ってないのに。」驚いたような、安堵を交えた表情だった。

「なんだか申し訳ないね」
この言葉が非常に重く、気になってしまった。

自身で納得して契約し、得た保障にもかかわらず請求することに「申し訳ない」と感じる。
万が一の時に保険金をお届けするのが私の仕事なのに。少しも申し訳なくなんかないのに。

当時私はライフカウンセラーとしての使命感、何故この仕事に就いたかなど、色々と考えていた時期だった。
義母の死を通して、私の中で大きく気持ちが変化した。
こういった手続きは無いに越したことはない。誰にでも訪れる「いつか」が遠い未来であってほしい。
でも、もしも「いつか」が起きてしまったら、その時は生命保険が大きな支えになる。
私はそのためのライフカウンセラーなのだ。と。

この仕事でないと経験し得ない、この仕事の持つ意味を
義母から教えてもらった。