家族が『がん』になるということ

本社部門:Kさん(40代)男性

「パパ、先生がご主人も呼んできてくださいと言ってる・・。」
病院の待合室で新聞を読みながら待つ私への妻からの想定外の言葉に動揺する。これはテレビドラマなどでよくあるシーンだなと場違いなことを考えつつ、診察室に入ると、いかにもやり手の医師からの説明を妻と一緒に聞いた。ここは甲状腺疾患の治療においては国内有数の専門病院である。時は2012年秋だ。
はじまりは、その年の夏に受診した健康診断時に触診した女医からの指摘である。「首のリンパ節のあたりに少しだけ”しこり”が認められるので念のため甲状腺専門の病院で調べてもらった方が良い」そう言われたそうだ。しばらくして甲状腺専門医に検査してもらったところ、「特に問題はない」とのこと。話はここで終わりそうなところであるが、妻は実に用心深い性格。いや疑い深いといって良いレベルだと思う。どうも違和感がぬぐえないということで、冒頭のとおり、甲状腺専門の病院で再度検査をしてもらったというわけである。
「ステージⅠの甲状腺乳頭がん」。診断された病名である。2つある甲状腺の右葉部分を切除する手術になるという。幸いステージⅠで、さほど心配しなくて良い。この段階で発見されたことはむしろ運が良いとのこと。なるほど、自分でもインターネットなどで調べてみたが、甲状腺がんは一般的に「たちの良いがん」と言われており、それなりに高齢な方が罹患された場合は、リスク&ベネフィットの観点でそのまま治療せず、という選択肢もあるそうだ。ただ、前述のとおり妻は疑い深い性格であり、つまり極度の心配性でもある。とても落ち込んでいた。入院の準備を進めるなかで、当社のがん保険の夫婦型に新入社員当時にとても手厚い保障内容で入っていたので、早速、がん診断給付金を約200万円という決して少なくはない額で受け取ることができた。がんに罹患したといっても、治療にかかる費用は高額療養費制度や健保組合からの支援も充実しているためさほど心配ない。ただ、大病と向き合うことは精神的に辛いことであるので、せめて診断給付金は妻の好きなように使って欲しいと伝えたところ、そんなに高くないアクセサリーを買うなどして、少し気持ちが前向きになったようだった(散財などはせず、娘の進学資金として貯金したようだが)。その点において、当社の保険が経済的なサポートのみではなく、精神的な支えにもなり得るということを肌で感じた。
入院手術の一週間はあっという間だった。まだ小学生だった娘は妻の不在中、努めて明るく振舞っていたが、私がお風呂に入っていたときに、リビングから娘の嗚咽が聞こえた時は何ともせつなく、胸が押しつぶされる想いがしたものだ。病気を通してではあるが、家族の絆を感じた。そんな娘も今は大学生となり海外に留学している。本当に時が過ぎるのは早い。
後日、妻が無事に入院手術を終え、翌年の健康診断で、前年に指摘をしてくれた女医に、早期に発見してくれたお礼を言ったところ、その初老のその道のベテランであろう女医は「それは貴女の日頃のおこないが良いからですよ」という実に粋なことを言ってくれたという。
むすびに。家族ががんになるということは本人だけではなく、家族にとっても大きな出来事である。この経験を通じて、家族の絆を改めて感じることが出来たということ、がん保険の経済的価値のみではなく、精神的な意義という機能を身をもって体験することができたことは大変有益であった。そして、何よりも、定期的に健康診断を受診することの大切さは、関わっていくであろう全ての方に、当社のサービスとともにしっかりと伝えていくことがMYパーパスである。そして、新たながん保険に入ることができない妻にとって、当社のがん保険はまさに一生のお守りだ。ペットネームは異なるが。
現在でも半年に一度、フォローアップとして同じ病院に夫婦で通っている。診察後、近くにある有名なとんかつ店で昼食をするのが定番だ。今週末にその予定が入っている。