乳房の部分切除を選択。「100%は元に戻らない」日常との向き合い方
乳房部分切除術を選択されたとお聞きしました。詳しく教えていただけますか?
がんの広がりが小さく、ステージも1だったため先生から「乳房部分切除術」をおすすめいただき、私も迷うことなく決断しました。手術もなるべく早く実施してほしいことも伝えました。「手術が怖い」という気持ちもゼロではなかったですが、それよりもせっかく早期発見できたがんを迷って放置する方の恐怖の方が勝っていました。また、私が勤めている病院で手術を受けられることや「術後も乳房の形を維持できる」ことも背中を押してくれた理由でした。
術後の治療と日常生活について教えてください。
思ったよりも早く回復したという印象でした。一カ月もあれば日常生活を普通に送れるようになったと思います。ただ、やはり乳がんになる前と完全に同じ生活を送れるわけではありませんでした。数カ月に一度は診察を受けなければいけないし、フォローアップという形で薬を10年間飲み続けました。副作用とか体調が変わったといったことはなかったですが、退院して自宅に戻り、いつものように洗濯物を干そうとしたときに腕がほとんと上がらなくて「え、一生このままだったらどうしよう」と衝撃を受けました。実際はリハビリのかいもあってすぐに良くなりました。
家族の皆さんとの接し方は何か変化がありましたか?
大きな変化はなかったですし、みんな変化を生じさせてないように配慮してくれたのかな、とも感じています。
子どもたちには手術をするよとそれとなく伝えましたが、幼かったのでどれだけ理解していたかはわからないですし、入院中でもちょこちょこ外泊で自宅に帰らせてもらっていたので、実感はなかったと思います。
一番大変だったのは夫かもしれないですね。なにかと手のかかる年齢の3人の子どもの世話と家事、仕事を私の分までやらなければならなくなりましたから。ただ、元々家事を分担していたこともあってか淡々とこなしてくれていたと思います。あと、本当に大変な時は義父母も手伝ってくれました。みんなには今でも感謝しています。
ライターコメント
医療の発展により、乳がんをはじめとした多くのがんは「不治の病」ではなくなりつつあります。一方、エリコさんのような患者さん自身や周囲の人たちを含む「がんサバイバー」としての人生は、お金やメンタルなどさまざまな面でがんになる前とは異なるケースが多いです。将来を見据えて保険や貯金、資産形成などがんになる前からある程度、備えておく必要もあるのではないでしょうか。