ライフステージ別の賢い選び方
自己負担限度額をベースに保険金額の検討を
医療費が高額になったとしても、医療機関の窓口で支払う金額には、ひと月あたりの上限(自己負担限度額)が設けられています。これは「高額療養費制度」と呼ばれる制度です。医療機関の窓口で支払った医療費が、ひと月(毎月1日から末日まで)で上限額を超えた場合、超えた分が後から払い戻される仕組みとなっています。ただし、入院時の食事代や差額ベッド代などは高額療養費制度の対象外です。
- ※健康保険組合などによっては、独自の助成制度を行っている場合があります。
この自己負担の上限額は、ご自身の世帯の所得に応じて段階的に設定されています。そのため、まずはご自身の世帯がどの区分に当てはまるかを確認し、自己負担限度額がいくらになるのかを把握しておくことが大切です。
その上で、万が一に備えて、自己負担限度額や、高額療養費制度の対象外となる費用をカバーできるような保険金額を検討しましょう。特に、ライフステージの変化に合わせて見直すことが重要です。ここでは各ライフステージ別の目安となる考え方をご紹介しますので、検討の参考にしてください。
20〜30代:保険料を抑えて早めの備えを
若い世代はがんリスクが比較的低いものの、就職や結婚を機に備えを検討する人が増えています。がん治療の自己負担分やその他の費用、一時的な休職による収入減に備えて、診断給付金100万円、治療給付金10万円程度を中心とした、保険料負担の少ない保障設計がおすすめです。月額保険料1,000円~3,000円程度から始められる商品も多く、家計への負担を最小限に抑えられます。
40〜50代:家族を守る手厚い保障を
働き盛りとなる世代は、収入が高くなる分、子どもの教育費や住宅ローン返済など、支出も増えていきがちです。治療費に加えて休職による収入減にも備える必要があります。診断給付金200万円~300万円程度、治療給付金5~30万円程度といった手厚い保障が適しています。
働けない期間の生活費をカバーするための保障や、再発・長期治療に備えた複数回給付タイプの検討も重要です。
60代以降:再発や通院を見据えてシンプルに
再発や長期通院リスクが高まる年代では、治療の継続性を重視した保障設計が重要です。また、2025年4月から65歳までの「雇用確保」が義務化されるなど、まだ就労している方が少なくありません。老後への備えの準備状況も踏まえつつ、通院時の交通費や治療継続費用に対応できる保障が安心で、診断給付金100万円~200万円、治療給付金5~30万円程度といった内容が考えられます。
保険料とのバランスを見ながら、必要な保障に絞ってシンプルに整えることがポイントです。
家族構成に応じた見直し
独身の場合は診断給付金と治療保障を中心とした、シンプルで保険料を抑えた構成で十分対応できます。家族がいる方は入院費や収入減少に備えた手厚い保障が安心です。
子どもの独立後は、再発リスクや長期通院への対応を重視した内容への見直しがおすすめです。ライフステージの変化に応じた柔軟な調整が、負担を抑えながら安心につながります。