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がん保険に入る前に知っておきたい「告知内容」とは?加入審査でチェックされるポイントを解説

がん保険を検討するとき、多くの人が悩むのが「告知内容」です。
健康状態や過去の病歴を正確に伝える必要があるのは分かっていても、どこまで書けばいいのか迷う方も少なくありません。この告知こそが、保険加入の可否を左右する重要なステップです。虚偽や記入漏れは契約解除や給付金不支給につながるリスクもあるため、誠実な回答が自分を守ることにも直結します。

特にインターネット申込みは手続きが簡潔な分、見落としや誤入力が起こりやすく注意が必要です。
本記事では、がん保険の告知内容の基本から注意点、加入できないケースと代替手段までを整理し、安心して保険を選ぶためのポイントを解説します。

がん保険における告知内容とは?

スマートフォンを眺めて考える女性 

がん保険に申し込む際には「告知」が必須です。告知とは、加入者自身が現在の健康状態や過去の病歴を自己申告し、保険会社がその内容をもとに契約を引き受けるかどうか判断する手続きです。
対象となるのは、過去数年以内の受診歴・投薬歴、検査結果や経過観察の有無など、がんのリスクを測るための情報です。例えば、過去2年の健康診断で再検査を指摘された場合や、過去5年以内に手術を受けた場合などは正確に記載する必要があります。

インターネット申し込みでは「はい・いいえ」で回答する形式が多いものの、質問内容や対象期間は商品ごとに異なります。保険加入の入口ともいえる重要なステップです。

告知が必要な代表的な項目(健康状態・既往歴など)

告知で尋ねられる項目は商品によって細かく異なりますが、一般的には以下のような内容です。

  • 健康状態:現在の治療状況や、経過観察の有無
  • 既往歴:入院や手術歴、過去3カ月〜1年以内の薬の使用状況など
  • 検査・健診の結果:再検査や精密検査の指摘、異常所見(ポリープの経過観察など)
  • その他:喫煙の有無、身長・体重など

「経過観察」や「要精密検査」は告知対象となる場合があります。曖昧な判断は避け、必ず設問に沿って正確に回答しましょう。

他の生命保険との違い(告知内容が比較的限定される理由)

がん保険の告知は、死亡保険や医療保険と比べて項目が少ない傾向があります。その理由は、保障の対象が「がん」に限定されているからです。

死亡保険や医療保険は、病気やケガ全般を対象とするため、糖尿病や高血圧、喫煙の有無など広範な告知が必要となります。一方、がん保険は、がん関連の既往歴や検査・経過観察の有無など、がんに直結するリスクが中心です。

告知の際に注意すべきポイント

特に告知で注意すべきは「対象期間」と「具体性」です。設問には「過去2年」「過去5年」などと対象期間が示されるため、その範囲内で受診や投薬、検査結果を正確に記入する必要があります。

良性腫瘍やポリープ切除も告知の対象になる場合があります。迷ったら自己判断せず、保険会社や募集人に確認するのが基本です。
また、虚偽や重大な記入漏れは告知義務違反とされ、契約解除や給付金が支払われない可能性があります。告知の際は健診結果やお薬手帳を手元に用意し、正式な病名を確認してから記入するのが安心です。

がん保険に加入できない主なケースとその背景

健康状態による制限

現在治療中、入院や手術の予定がある、精密検査や経過観察中などの場合は、保険加入が見送られる可能性が高いです。体調が安定してから申し込む必要があります。

既往歴や持病による制約

がんや上皮内新生物の既往歴は、がん保険加入の審査で最も重視されます。基本的に、すでに治療中や経過観察中の場合、加入不可となる可能性が高いでしょう。
加入が難しい場合は、引受基準緩和型の医療保険や経験者向けのがん保険が選択肢となりますが、保障内容や保険料の違いがあることを理解しておきましょう。

年齢による制限

がん保険には加入年齢の上限があり、一般的には60歳台後半から80歳前後までと商品により異なります。上限を超えると新規加入できません。

告知で加入できなかった場合の選択肢

コンクリートの道を歩く女性の足元 

保険会社別に検討してみる

同じ健康状態でも、会社によって加入可否や条件が変わります。病歴を問う期間や再検査の扱い、加入年齢、給付条件などを比較することで、自分に合った商品が見つかりやすくなります。

引受基準緩和型保険・医療保険の利用

告知項目が少ない引受基準緩和型の医療保険やがん経験者向けがん保険なら加入できる可能性があります。ただし、がん経験者向けがん保険の場合、最後の治療から一定期間経過している必要があるなど、加入条件を満たす必要があります。また、保険料は割高になり、保障内容も違うことがあるので注意が必要です。

公的制度や共済・相談窓口の活用

民間の保険会社での加入が難しい場合は、高額療養費制度や傷病手当金などの公的支援を最大限に活用しましょう。県民共済など、告知項目が少ない共済を検討するのも一案です。また、がん相談支援センターなど専門の窓口を利用して情報収集するのも有効です。

まとめ

がん保険の加入には「告知」が不可欠で、過去の受診歴、既往歴、検査結果を正確に申告することが求められます。虚偽や重大な記入漏れは契約解除や給付金が支払われない可能性に繋がるため注意が必要です。

正しく告知をして申込をしても加入できないケースもありますが、保険会社ごとの基準比較、緩和型商品の利用、公的制度や共済の活用など選択肢は複数存在します。さらに、将来の治療や生活設計を見据え、無理のない範囲で備えを整えておくことが安心につながります。

特に再申込や見直しの際には、告知内容が過去の経過や診療記録と一致しているかも確認し、記録をきちんと残すことが重要です。迷ったときは自己判断せず、専門窓口に相談して最適な保障を選びましょう。

黒田尚子
監修 黒田尚子

1992年日本総合研究所に入社。在籍中にFP資格を取得し、1997年退社。1998年4月にファイナンシャルプランナーとして独立。2009年に乳がん告知を受け、自らの体験をもとに、病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動や老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「就労リング」のファシリテーター、がんと暮らしを考える会のお金と仕事の相談員などに従事。2023年4月には、がん患者支援などを目的に患者家計サポート協会を設立し顧問を務める。近著は「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)

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