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20年前のがん保険に入っていても困らない?“進化したがん保険”を知ることで、進化した医療に見合った見直し方を指南

現在、がんの治療は入院中心から通院中心へと変化し※、働きながら治療を続けることが一般的になりました。一方で分子標的薬や免疫療法といった最新治療の普及で選択肢は広がりましたが、治療費が高額になる可能性も無視できません。

こうした医療の進化に、あなたのがん保険は対応できていますか?以前加入したがん保険は、長期の入院への備えが手厚い反面、通院治療や先進医療、再発・転移への保障が不十分なケースも少なくありません。

この記事では「がん保険の見直し」がなぜ今必要なのか、その最適なタイミングと、最新のがん保険で抑えるべき保障内容をわかりやすく解説します。また、見直しを実践する際の具体的なポイントや注意点まで網羅し、あなたの疑問を解消します。
ご加入中の保障を再確認することで、いざというときに後悔しないためのがん保険の見直しを始めてみましょう。

※出典:厚生労働省 平成29年、令和2年、令和5年患者調査の概要

がん保険の見直しは「ライフステージの変化」と「医療の進化」がカギ

なぜ、がん保険の見直しが必要なのでしょうか。そのタイミングと主な理由を解説します。

がん保険を見直す大きなきっかけとして、家族や友人ががんに罹ったことや、契約更新による保険料の上昇などが挙げられます。
しかし、がんの治療方法は日々進歩しているため、保険会社から「ご契約内容のお知らせ」が届くタイミングで加入中の保険の契約内容を確認することをおすすめします。最新のがん治療の傾向を調べて、自分の保険でがん治療に専念できる十分な保障を備えているかを検討することが重要です。
また、保険の見直しは健康状態がよいうちに検討することが大切です。健康状態に問題があると保険に加入できない可能性が高くなってしまいます。

がん保険の見直しが必要な主な理由は以下の2つです。
  1. ライフステージの変化に対応する保障額の調整
    がんに罹患した場合の収入減に備えるなど、必要保障額は家族構成や年齢によって異なります。
  2. 医療の進歩と保障内容のギャップ解消
    現在の医療では放射線や抗がん剤などの薬物療法を通院で行うことが長期化しており、古いタイプの入院が中心の保障では通院治療に対応しきれないケースがあります。
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20代・30代・40代・50代~ ライフステージ別:がん保険見直しの重要ポイント

がん保険の見直しは、年齢やライフステージによって着目すべき点が異なります。

■20代
がんと診断された場合、社会人として働き始めの時期であり、一般に貯蓄額が少ないため、経済的な影響は特に大きくなりがちです。傷病手当金などの公的な支援があるとはいえ、治療費だけではなく働けないことによる収入減にも備えることが大切です。掛け捨てや定期型などを活用し、診断給付金や就業不能保障を手厚く検討するのが効果的です。
■30代~40代
20代に引き続き、働けなくなるリスクへの備えが重要です。特に、配偶者や子どもがいる場合は、自分だけの生活費ではなく、教育費や住宅ローンなどの出費も考えて必要な保障額を検討しましょう。診断給付金の追加加入、通院治療を含めた保障、そして就業不能時の保障も重量になります。
■50代以降
がんは加齢に伴い発症リスクが高まる病気です。この年代では、貯蓄を老後資金として守るためにも、治療費で資産が減る事態は避けたいものです。長期の通院治療、自由診療、先進医療といった高額な治療もカバーできる保障を選ぶことが重要です。特に、複数回受け取れる診断給付金や、先進医療特約の有無は必ず確認しましょう。

古いタイプのがん保険では保険金が出ない?医療の進化と保障のギャップ

がん治療は入院期間が短くなり通院での治療が一般的になりました。※ 抗がん剤や放射線、免疫療法なども、多くが通院で行われます。
しかし、こうした医療の変化に対して、以前に販売されたがん保険は、現在行われている治療の実態と大きなズレが生じている可能性があります。

たとえば
  • 入院給付金が保障の中心:通院治療がカバーされない。
  • 診断給付金が1回のみ:再発・転移時に対応できない。
  • 通院保障は入院前後のみ対象:長期にわたる通院治療に対応できない。

つまり、「入院しないと給付金が出ない」「診断給付金が一度きり」といったケースがこれに当たります。治療が長引くことによる治療費の負担や収入減、再発時の精神的、経済的負担に十分対応できないというリスクが考えられます。
このようなギャップを解消するためには、通院治療を対象とした保障、複数回受け取れる診断給付金、そして先進医療特約などを備えたがん保険への見直しを検討することが不可欠だといえるでしょう。

がん保険の知っておきたい保障内容

治療給付金 抗がん剤・ホルモン療法・放射線治療といった通院治療に対応して、月額10万円など月単位や投与ごとに給付金が支払われる設計が増えています。
従来の入院日数に連動するタイプから、入院を伴わない通院治療だけでも給付の対象となるタイプへと大きく変化をしました。
診断給付金 がんと確定された時点で一時金(例:100万円~200万円など)が支払われます。
この給付金は治療費だけでなく、休業中の生活費や交通費など、用途を問わず自由に使えるため、がん保険の見直しにおける最重要ポイントのひとつです。再発や転移時にも一定条件で複数回受け取れる商品が主流となっています。

「高額療養費制度だけでは不十分?」診断給付金を見直すべき理由

高額療養費制度があるため、自己負担額は一定額に抑えられます。
しかし、この制度が適用されない差額ベッド代、食事代、交通費、さらには治療による休業で生じる収入減など、治療費以外の経済的な負担は決して少なくありません。
診断給付金は、こうした治療時以外の費用にも自由に使えるため、がん保険の見直しにおいて優先して考えることが大切だといえます。

診断給付金の支払い要件は、保険会社によって異なります。がん保険の見直しの際は次の点を確認しましょう。
  • 支払い要件:何をもって再発・転移と認定されるか
  • 支払い間隔:前回の支払いから次の支払いまでどれくらいの期間が空いている必要があるか
  • 回数上限:何回まで受け取れるか
  • 給付金額:1回あたりいくら受け取れるか

入院よりも「通院」が主流に。がん保険の通院保障を見直す

がん治療が通院で行われることが増えた現在、それに伴い、通院治療でも給付金を受け取れるがん保険が増えてきました。
抗がん剤やホルモン療法は投与した1日単位で、放射線治療は月単位で支払われるなど、支払いの単位や回数の上限は、商品によって異なります。

通院治療に対しては次の3つの点を確認することが大切です。
  • 入院要件の有無:入院を伴わない通院治療が保障されるか
  • 対象となる治療の範囲:抗がん剤、ホルモン療法、放射線治療など、どういった治療が対象となるか
  • 支払単位と上限:月単位か、回数単位か、総支払回数に上限があるか

失敗しないがん保険見直しの3ステップと「落とし穴」

①現在の契約の保障内容を確認

まずは、加入中のがん保険の保障内容を正確に把握することから始めましょう。

保険証券・約款・契約内容のお知らせを見ながら、次の項目を洗い出してください。
  • 診断給付金の有無、支払い要件、回数、金額
  • 入院・通院・手術・放射線治療・抗がん剤治療の保障範囲と給付金額
  • 先進医療特約の有無
  • 上皮内新生物の扱い
  • がんの保障開始までの待機期間(免責期間)
不明な点があれば、コールセンターや担当者に確認し、正確な情報を集めましょう。

②最新のがん保険と比較検討する

現在の保障内容を把握したら、次に最新のがん保険と比較検討します。以下の点を中心に比較し、自分のニーズに合ったがん保険を選びましょう。がん治療の現状に沿った、保障を選ぶことが重要です。

  • 通院治療の保障範囲と保障額
  • 診断給付金の支払い要件と回数、金額
  • 保険期間(終身型か、更新型か)
  • 保険料
  • 先進医療特約や自由診療特約、その他特約の保障内容
  • 先進医療特約や自由診療特約、その他特約の保障内容
  • 給付金請求のしやすさ

③家計とのバランスを調整する

しかし、保障内容が充実していても、保険料が家計を圧迫してしまっては継続が難しくなります。生活費や将来の支出(住宅ローン、教育費、老後資金など)を見据え、毎月支払える保険料を検討しましょう。 がん保険の見直しは「貯蓄」と「保険」の両方の面からアプローチし、無理のない範囲で必要な保障を確保することが大切です。

保障の空白期間を作らないがん保険見直し時の注意点

がん保険の見直しを行う際に特に注意すべき点が2つあります。

■保障の空白期間ができてしまう可能性がある
がん保険は、加入してからがんの保障が開始するまで一般的に90日間の免責期間を設けています。
そのため、加入中のがん保険を解約してから新しいがん保険に加入した場合、この90日間はがんの保障が全くない「空白期間」ができてしまいます。現在加入している契約を解約する前に、新しいがん保険に加入することで空白期間を防ぐことができます。
■保険料が高くなる可能性がある
新たにがん保険に加入する場合の保険料は、加入時の年齢に基づいて計算されます。保険は一般的に年齢が上がるほど保険料も高くなる傾向があるため、若い頃に契約した保険よりも毎月の負担が増えることが多くなります。
無理なく支払いを継続できる範囲で、自分の健康状態と家計のバランスを考慮して検討しましょう。

まとめ:後悔しないがん保険の見直しを

がん保険は、医療の進化やライフステージの変化に合わせて定期的な見直しが不可欠です。
従来の入院保障が中心の保険では、現代のがん治療の主流である通院治療、高額な先進医療、そして再発・転移といったリスクに十分対応できない可能性があります。
現在のがん保険は、診断給付金の複数支払い、通院治療に対応した治療給付金、先進医療特約など、治療の実態に即した保障が充実しています。

がん保険の見直しの際は、現在の契約内容をしっかり確認し、新しい保険との比較検討はもちろん、家計とのバランスを考慮することが重要です。特に、保障の空白期間を作らないよう、細心の注意を払いましょう。健康状態が良好なうちに、将来への備えをしっかりと整え、安心して治療に専念できる環境を確保しましょう。

横川 由理(よこかわ ゆり)
監修 横川 由理(よこかわ ゆり)

経歴:FPエージェンシー代表 CFP®、証券アナリスト、FP歴25年

生命保険会社での勤務を通じて、「顧客の立場に立った考え方」の必要性を強く感じ、FP業界に飛び込む。現在は、相談業務をはじめ、FP資格取得学校、大学院、企業研修の講師、雑誌や書籍、FPテキストの執筆等を手掛けている。

著書:年度版「NEWよい保険・悪い保険」(徳間書店)シリーズは、16年目に突入。「知らなきゃ損!インフレってなに」(自由国民社)など50冊を超える。

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