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就業不能保険って必要?仕組みと基本知識まで徹底解説!

「就業不能保険」は、病気やケガで長期間働けなくなった時、毎月の保障で家計をサポートする保険です。家計にとって心強い支えとなる一方で「公的保障があるから大丈夫」「保険料の負担が大きい」といった声も聞かれます。果たして本当に必要なのでしょうか?
就業不能保険は、実はすべての人に必要な保険ではありません。必要性は、収入や家計の状況により変わります。では、あなたの場合どう判断すべきか、どのように選ぶべきか、就業不能保険だけに頼らない備えの方法はあるのか。そうした疑問にていねいにお答えしていきます。

5秒で判明!就業不能保険は“いらない”人

就業不能保険は、いる?いらない? その答えは職業や家計の状況により変わります。早く知りたい方のために、先に結論をお伝えします。

就業不能保険は“いらない”人
  • 会社員で、6〜12か月分程度の生活防衛資金がある
  • 共働きで、収入源が分散されている
  • 固定費が少なく、公的保障(傷病手当金)で当面まかなえる
就業不能保険を検討すべき人
  • 自営業/フリーランス(傷病手当金の給付対象外である人)
  • 自分が家計の大黒柱
  • 住宅ローンや教育費などの大きな固定費がある

なぜそう判断されるのかについて、以降の章で詳しく紐解いていきます。

就業不能保険の仕組みと基本知識

判断を考える前に、就業不能保険がどんな保険なのか、基本を把握しておきましょう。就業不能保険とは、病気やけがで長く働けない状態が続いたときに、毎月の生活費を補う保険です。「治療費」をカバーする医療保険に対し「収入減」そのものをカバーするのが就業不能保険です。

どんなときに受け取れる?

支払条件は商品により異なりますが、多くの就業不能保険に共通するのがつぎの3つの条件です。

  1. 医師の診断で「働けない状態」と認められていること
  2. 契約時に定めた免責期間(60日・90日・180日など)を超えて、働けない状態が続いていること
  3. 契約に定めた給付期間内であること

受け取り方と期間

就業不能保険では、お給料のように毎月受け取れるタイプが一般的です。その支払期間は「2年・5年」など期間を定めるタイプと、「65歳まで」のように支払満了年齢を定めたタイプがあります。また、傷病手当金の見込める初期の期間のみ受取額を少なく設計して保険料を抑えた商品もあります。

給付が始まるまでの流れ

給付はつぎのような流れで開始されます。

  1. 医師の診断で「働けない状態」と認められる
  2. 免責期間(60日・90日・180日など)を経過
  3. 毎月の給付金の受け取り開始

免責期間を短く設定したほうが早く受け取れますが、その分保険料は上がります。

いる?いらない?判断のカギは公的保障

働けなくなったとき、直ちに収入がゼロになるとは限りません。なぜなら公的保障があるからです。その保障の大きさは、就業不能保障の備えが必要かどうか考える上で、重要な判断材料となります。どのような公的保障が受けられるのか見てみましょう。

会社員が受け取れる「傷病手当金」

傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やけがで給与を受けられない場合に、標準報酬日額の約3分の2が支給される制度です。待期3日後の4日目から支給され、同一傷病につき最長で1年6か月続きます。
標準報酬月額30万円の会社員なら、日額約6,667円、月約20万円弱が支給される計算です。健康なときの収入よりは確実に減るため、固定費の大きい家庭では不足が生じやすくなります。
そして、自営業者は対象外である点に注意してください。

会社員も自営業も受け取れる「障害年金」

障害が長期化し、国民年金の1・2級、厚生年金の1~3級に該当するようになると障害年金が支給されます。こちらは会社員でも自営業でも受け取れます。ただし傷病手当金に比べ要件が厳しく、働けないからといってすぐに受給できるものではない点に注意が必要です。“最悪の事態の備え”と捉えるくらいが現実的です。

障害年金の受け取りイメージ

【ポイント】自営業・フリーランスは収入減が直撃する

自営業やフリーランスには傷病手当金がありません。そのため就業不能時には収入が止まり、事務所費やツール費などの固定費だけが残ります。就業不能保険などの備えの必要性が高いといえるでしょう。しかし、会社員も、教育費や住宅ローンなど大きな固定費を抱えている場合、公的保障のみでカバーできるかは微妙です。

就業不能保険が “いらない” ケース

公的保障の充実している会社員の場合、就業不能保険が必ずしも必要とは限りません。就業不能保険はいらない、と判断できるケースについてみてみましょう。

【ケース①】十分な貯蓄のある人 ─ 短期の休業なら乗り切れる

傷病手当金のある会社員の場合、教育費や住宅ローンなどの固定費がなく、かつ貯蓄として6~12か月分の生活防衛資金を確保できているのであれば、保険の必要性は相対的に低くなります。ただし長期化した時には破綻する可能性を孕んでいる点には注意が必要です。

【ケース②】家計の負担が大きすぎる ─ 就業不能保険の保険料が高くなりやすい

就業不能保険は、長期給付を前提とするため保険料が高くなりやすく、保障範囲を広げれば負担も膨らみます。確保できる保障に対して保険料の負担が大きすぎるのであれば、加入を控える判断も合理的です。

【ケース③】共働きの家庭である ─ どちらかの収入でやりくりする

共働き世帯の場合、どちらか一人が休んでも一定期間は家計を支えられるケースが多く、保険がなくとも“家計崩壊”にまでは直結しにくくなります。
以上の3つのケースに当てはまる場合、加入しないことも選択肢といえます。

就業不能保険が “いる” ケース

一方で、つぎのような人にとっては、就業不能保険が有効な防衛策となります。自営業者・フリーランスだけでなく会社員も当てはまるケースがあります。

【ケース①】自営業者・フリーランスである ─ 公的保障が手薄

自営業やフリーランスは傷病手当金がなく、休業イコール収入減に直結します。障害年金は重度の場合に限られ、生活費を十分に補えない場合が多く、労災補償も特別加入していなければ対象外です。
さらに、事務所家賃、光熱費、サーバー代、人件費などの固定費は休業中も発生します。これらのギャップを埋める手段として、就業不能保険は有効です。免責期間や給付期間を、事業のキャッシュフローに合うよう設計することが重要です。

【ケース②】家計の大黒柱である ─ 収入減の打撃が大きい

住宅ローンや教育費など、大きな固定費を抱える家庭では、収入が途絶えたときのダメージが大きくなります。数か月なら貯蓄でやりくりできたとしても、働けない期間が数年単位で長期化すると、破綻する可能性が出てきます。
公的保障の手厚い会社員いえども、傷病手当金は最長1年6か月まで。また支給額は手取り収入を全額補うものではありません。配偶者の収入や貯蓄で補えない場合、就業不能保険の長期保障が助けになります。必要額と期間を絞って検討する価値はあるといえるでしょう。

【ケース③】働けない期間の長期化が不安 ─ 傷病手当金ではカバーできない

会社員が受け取れる傷病手当金は最長1年6か月までと、中長期の就業不能をカバーしにくいのが実情です。しかし、病気の治療が長期化することは少なくありません。特にがん、脳血管疾患、メンタル疾患は治療が長期化しやすく、復職のめどが立ちにくい可能性があり、貯蓄だけで備えるのは現実的ではありません。就業不能保険はこうした不足を補える貴重な手段といえます。

疾病別、退院患者平均在院日数のグラフ

就業不能保険のチェックポイント

就業不能保険は、商品による保障内容の違いが比較的大きい分野です。特に支払い条件をよく確認し、いざというとき「もらえると思った保険金が受け取れない」ということのない商品を選びましょう。

【チェックポイント① 】 精神疾患が保障されるか

メンタルの不調により働けなくなるケースは非常に多く、傷病手当金給付の約4割が、精神疾患によるものです。ところが精神疾患を保障対象としている就業不能保険は、決して多くはありません。商品検討時には、保障対象に精神疾患が含まれているか、よく確認したいところです。

【チェックポイント② 】 在宅療養が保障されるか

病気・けがにより働けなくなっても、入院しているとは限りません。在宅療養期間も保障されるか確認しましょう。また「在宅療養も保障!」と書かれていても、その認定基準が厳しい場合が少なくありません。保障される在宅療養の条件までよく確認することが大切です。

【チェックポイント③ 】 免責期間の長さ

免責期間とは、保障される状態になってから一定期間は保障しないことを取り決めたものです。その日数は、60日・90日・180日など。免責期間を長くすれば保険料は抑えられますが、それだけ初期の自助が必要になります。生活防衛資金の大きさを見て選びましょう。

「高い」と感じたら…就業不能保険以外の選択肢

就業不能保険は、精神疾患までカバーしたり、免責期間を短くしたり、給付期間を長く設定しようとすると、どうしても保険料が高くなりがちです。そこで、就業不能保険以外の選択肢として検討したいのが「収入保障保険」に特約を追加する方法です。
収入保障保険は、万一に備える死亡保険の一種です。一般的な死亡保険と違って、保険金は一括で支払われず毎月一定額が給付されます。この収入保障保険の中には、特約を追加することで、保障対象を「死亡・高度障害」だけでなく「就業不能」に拡大することができる商品があるのです。

例えば、SOMPOひまわり生命の就業不能保険「じぶんと家族のお守り」の場合、特約を付加することで就業不能保険と同等の保障を受けることができます。しかも、最も心配な「精神疾患」による就業不能も保障されるのは特筆すべき点です。

このように「万一」と「就業不能」に1つで備えられる。「収入保障保険」は、コスパに優れた選択肢といえます。

まとめ

就業不能保険は、万人に必要な保険ではありません。会社員の場合、公的保障が充実しているため、固定費が少なく貯蓄も潤沢であるならば“いらない”という判断も理に適っています。一方、自営業者や家計の柱として働く人、固定費が大きい人には、長期の収入減少時のバックアップは必要不可欠であり、就業不能保険はその有力候補の1つとなります。
まずは、「働けなくなったとき、毎月いくら不足するのか」を把握すること。それにより選択肢は大きく変わります。そして万一と就業不能の備えを兼ねる「収入保障保険」も、選択肢の一つであることを理解しておきましょう。

「働けないときの備え方」をもう少し詳しく知りたい方へ、こちらも参考になります。

三上 佑二(みかみ ゆうじ)
監修 三上 佑二(みかみ ゆうじ)

経歴:損害保険代理店勤務を経て2012年SOMPOひまわり生命保険株式会社に入社。
得意領域:ファイナンシャルプランニングを通じた家計見直しや資産形成。
年間50回の講演、200世帯の個別相談を通じて、「住宅」「教育」「老後」「資産形成」などさまざまなお金の問題解決のお手伝いをしております。
自分自身の病気や子育て中の経験を活かし、お客様一人ひとりのペースに合わせて「親切」「丁寧」「分かりやすい」をモットーに「相談してよかった」と少しでも感じていただけるお話を心掛けております。

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