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掛け捨て型の生命保険とは?貯蓄型との違いやメリット・デメリットをかんたん解説

「生命保険の掛け捨ては損なのでは?」と不安に感じる人は少なくありません。毎月の保険料が家計を圧迫するうえ、「結局お金は戻らない」というイメージが強いからです。

しかし実際には、掛け捨て型には大きな魅力があり、ライフステージや家族構成によっては必要な保障を効率的に確保できる、非常に合理的な選択肢となるケースも少なくありません。

本記事では「掛け捨て型生命保険」というテーマで、その仕組みや特徴、貯蓄型との違い、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。さらに、掛け捨て型が向いている人の特徴や、公的保障を踏まえた自分に合った保険の選び方まで、具体的にご紹介。保険選びに迷っている方が、納得できるプランを見極めるための参考にしてください。

掛け捨て型の生命保険とは?基本知識からわかりやすく解説

生命保険には様々な種類がありますが、大きく分けると「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2つに分類されます。この章では、まず掛け捨て型生命保険がどのようなものか、その基本的な仕組みと代表的な種類を解説します。

掛け捨て型の仕組み

掛け捨て型生命保険とは、純粋に「万一の保障を確保すること」を目的とした保険です。
支払った保険料は、保険期間中の保障に充てられ、契約が満期を迎える、または途中で解約しても、原則として解約返戻金や満期保険金はありません。

「保険料が戻ってこないなんてもったいない」と感じるかもしれません。しかし、その分、貯蓄型に比べて毎月の保険料が低く抑えられるのが大きな特徴です。
例えば、「子どもが独立するまでの20年間だけ」「住宅ローンの返済期間中だけ」といったように、必要な時期に集中して大きな保障を備えたい人に適しています。資産形成は投資信託やNISAなど別の手段で行いたいと考える人にとって、最も効率的にリスクに備えられる選択肢と言えるでしょう。

代表的な掛け捨て型の保険の種類

掛け捨て型の生命保険には複数の種類があります。それぞれ特徴を理解して選ぶことが大切です。

●定期保険
一定期間内に被保険者が亡くなった場合、まとまった保険金が支払われる保険です。
保険期間は「10年間」「〇歳まで」などと設定され、期間中に何もなければ保険料は戻りません。保険料が割安で、教育費や住宅ローンのある子育て世代など、必要な期間だけ大きな保障を確保したい方に人気があります。
●収入保障保険
被保険者が亡くなった場合、遺族に死亡保険金が一時金ではなく、年金のように毎月一定額が支払われる保険です。保険期間が終了すると保険金の支払いも終了します。
残された家族の毎月の生活費や教育費などを補うように設計されており、給与収入の減少リスクに備えたい場合に役立ちます。保険金総額は残りの保険期間が短くなるにつれて減少しますが、その分保険料は定期保険よりもさらに安価な傾向があります。
●医療保険・がん保険
病気やケガによる入院、手術、がんの治療などに備える保険です。保険期間中に給付金が支払われなかった場合も、支払った保険料は戻りません。医療費の自己負担を軽減し、貯蓄を切り崩すリスクを避けるために加入する人が多く、実用性の高い保険と言えます。

これらの掛け捨て型の保険は、必要な時期に合わせて選びやすく、ライフスタイルの変化に応じて保障内容や保障額を柔軟に見直しやすい点も、多くの人に選ばれる理由となっています。

掛け捨て型と貯蓄型の違いを徹底比較

生命保険を検討する際、多くの人が「掛け捨て型」と「貯蓄型」のどちらを選ぶべきかで迷います。これら二つのタイプは、設計や目的が大きく異なり、どちらが適しているかは個人の価値観やライフプランによって変わります。

比較項目 掛け捨て型 貯蓄型
保険料 積立機能がないため、毎月の保険料を低く抑えることができる。 保障に加えて積立を行うため、保険料は高め。
解約返戻金・満期金 原則として、なし(ごくわずかな場合を除く)。 あり(契約期間や商品によって変動。元本割れのリスクもある)。
目的 万一の事態に備える「保障」に特化。 「保障」に加えて「資産形成」を兼ねる。
柔軟性 ライフステージの変化に合わせて見直しやすい。 途中解約すると元本割れのリスクがあり、見直しに制約がある場合も。

ここでは、その違いを「保険料」と「解約返戻金・満期金」という、保険選びで特に重要となる2つの観点からわかりやすく比較してみましょう。

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保険料の違い

掛け捨て型
積立機能を持たないため、毎月の保険料を低く抑えることができます。これは、支払った保険料が純粋に保障のために使われることを意味します。限られた予算のなかでも必要な保障を確保しやすく、若いうちに加入すれば手頃な保険料で保障を準備できるのが利点です。
貯蓄型
保障に加えて積立機能を持つため、同じ保障額でも保険料は高めに設定されます。保険料の一部は将来の解約返戻金や満期保険金のために積み立てられるため、保障を確保しながら資産形成も同時に行えるのが特徴です。しかし、その分、毎月の家計負担は大きくなります。

解約返戻金・満期保険金の違い

掛け捨て型
解約時や満期を迎えた場合も、原則として保険料は戻りません。支払った分は保障に充てられ、純粋に「リスクに備えるための費用」となります。
貯蓄型
解約時や満期を迎えた場合に、解約返戻金や満期保険金を受け取ることができ、保障を確保しながら、将来の教育費や老後資金として利用できる可能性があります。ただし、早期に解約すると、支払った保険料の総額を下回る元本割れを起こすリスクがある点には注意が必要です。

掛け捨て型生命保険のメリットとデメリット

掛け捨て型生命保険は、その仕組みから家計に優しいという利点がある一方で、長期的な視点では不利と感じる点も存在します。ここでは両面からどのような特徴があるのかを整理し、理解を深めていきましょう。

掛け捨て型の魅力とメリット

掛け捨て型生命保険には、主に以下のメリットが挙げられます。

①保険料を抑えられる

掛け捨て型の最大の魅力は、積立機能がない分、貯蓄型に比べて毎月の保険料を大幅に抑えられる点にあります。例えば、同じ死亡保障額で比較した場合、貯蓄型に比べて保険料が半額以下になることも珍しくありません。
これにより、経済的負担を軽減しながら、必要な期間だけ大きな保障を効率的に準備できます。特に、子育てや住宅ローン返済など出費が重なる時期においては、掛け捨て型なら家計を圧迫することなく「もしも」に備えることができるのが強みです。

②ライフステージの変化に合わせて見直しやすい

掛け捨て型は解約返戻金や満期金がないことから、契約途中で結婚や出産、子の独立、親の介護など、必要な保障が変化した場合も気軽に保障内容を見直し、解約しやすいという特徴があります。これにより、常にその時のライフスタイルに合った最適な保障を維持しやすくなります。

知っておきたいデメリットと注意点

一方で、掛け捨て型には知っておくべきデメリットや注意点もあります。

①支払った保険料は戻らない

最大の留意点は、保障期間中に保険金を受け取る事態にならず、かつ契約満了や途中で解約した場合、支払った保険料は原則として戻ってこない点です。これにより、「保険料がもったいない」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、これは「万一の事態」に備えるという保険本来の役割を果たした結果であり、支払った保険料は「安心」という対価を得るためのコストと捉えることができます。

②定期型の場合、年齢が上がるにつれて保険料が高くなる可能性がある

掛け捨て型の保険には、保険期間が「終身型」と「定期型」の2つがあります。
終身型は解約しない限り保障が続くタイプで、保険料は契約時から変わりません。ただし、定期型の場合は一定期間(例えば10年など)ごとに保障内容や保険料が見直され、一般的に更新時の年齢が上がると保険料も高くなる傾向があります。
長期にわたって契約を続けることを想定している場合、将来的に家計の負担が増える可能性があるため、契約形態(定期型か終身型か)をよく確認し、長期的な視点での保険料の推移を把握しておくことが重要です。

③資産形成の機能がない

掛け捨て型に資産形成の目的はないため、支払った保険料が将来的に資産として積み上がることはありません。
教育資金や老後資金といった資産形成の目的で保険を活用したい場合には、別の貯蓄型保険や、投資信託、NISAなどの金融商品を別途検討する必要があります。保険は保険、貯蓄は貯蓄と分けて考える方にはデメリットになりませんが、保険で両方を賄いたいと考える方には不向きです。

以上の点を踏まえると、掛け捨て型はライフステージの変化に合わせて保障内容や保障額を定期的に見直すことが非常に大切です。無理なく続けられる範囲で利用することで、賢く活用できるでしょう。

掛け捨て型が向いているのはどんな人?

掛け捨て型と貯蓄型、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、「結局、自分にはどちらが合っているのだろう?」と考える方もいるでしょう。
ここでは、掛け捨て型と貯蓄型それぞれがおすすめできるケースを具体的にご紹介します。ご自身のライフプランや価値観と照らし合わせてみてください。

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掛け捨て型がおすすめのケース

掛け捨て型は、必要な期間に必要な分だけを効率よく備えたい場合に、非常に合理的な選択肢になります。以下のような方に特におすすめです。

・保険料をできるだけ抑えたい人
家計の負担を最小限に抑えつつ、万一の保障はしっかり確保したいと考える方。特に、住宅ローンや教育費などで支出が多い時期に、保険料を抑えたい場合に有効です。
・独身者や子どもがいない家庭
扶養家族がいない場合や、夫婦共働きで万一の際も経済的な影響が少ない場合など、高額な死亡保障の必要性が低い、または特定の期間のみ保障が必要な場合に、掛け捨て型はシンプルで効率的です。
・出費が多い時期に効率的に保障を確保したい人
住宅ローンを組んだばかりで返済額が大きい時期や、子どもが小さく教育費がかさむ時期など、もしものことがあった場合に経済的に困窮するリスクが高い期間だけ、手厚い保障を安価な保険料で得たい場合に最適です。
・ライフイベントに応じて柔軟に保険を見直したい人
結婚、出産、子の独立、住宅購入・完済など、ライフステージの変化に合わせて保障額や保障期間を頻繁に見直したいと考える方。掛け捨て型は解約や変更が比較的しやすいため、常に最適な保険プランを維持できます。

貯蓄型がおすすめのケース

一方で、保障と資産形成を一体的に進めたい場合、長期的な保障の確保を考えたい場合には、貯蓄型がより適しています。

・教育資金や老後資金を同時に準備したい人
保険の保障機能を利用しつつ、同時に将来の学費や老後の生活費を計画的に積み立てていきたいと考える方。貯蓄型保険は、強制的に貯蓄ができるという側面も持ち合わせています。
・支払った保険料を資産として残したい人
万一の保障が不要になった際や満期時に、支払った保険料が一定額以上で戻ってくることに価値を見出す方。お金が手元に残る安心感を重視する方に適しています。
・貯蓄が苦手で、保険を貯蓄のきっかけにしたい人
自分で計画的に貯蓄するのが難しいと感じる方が、保険という仕組みを利用して半強制的に貯蓄を進めたいと考える場合に有効です。

自分に合った掛け捨て型生命保険の選び方

掛け捨て型はシンプルだからこそ、自分に合ったものを選ぶことが重要です。漠然と選ぶのではなく、しっかりとポイントを押さえて比較検討することで、家計に無理なく、必要な保障を賢く手に入れることができます。
ここでは「保険選びのポイントと比較方法」と「加入前のチェック項目」を整理します。

保険選びのポイントと比較方法

掛け捨て型を選ぶ際に、特に意識したいポイントは以下の通りです。

①必要保障額を算出する

まずは、「万一のことがあった場合、家族が生活していくためにいくら必要か」を具体的に試算することが第一歩です。
遺族の生活費、子どもの教育費、住宅ローンの残高、葬儀費用などをリストアップし、現時点での貯蓄や公的保障(遺族年金※など)でまかなえる分を差し引いた金額が、必要な保障額の目安となります。これにより、過剰な保障や不足を避けられます。

【例】遺族の生活費(月額)×年数、教育費(大学卒業まで)〇〇万円、住宅ローン残高〇〇万円 など

  • 遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。どの遺族年金を受け取れるかは、亡くなった方が加入していた年金制度によって異なります。

②複数の商品を比較する(保険料、保障期間、特約など)

同じ掛け捨て型でも、保険会社や商品によって、保険料、保障範囲、保障期間、特約などが異なります。複数社のプランを見比べ、自分のニーズに最も合ったものを選びましょう。

③契約形態(定期型か終身型か)を確認する

前述で触れた通り、掛け捨て型には「定期型」と「終身型」があります。

定期型:一定期間(例えば10年など)ごとに契約を更新し、その際に保険料が見直されます。更新時の年齢が上がるにつれて保険料も高くなる傾向があります。
終身型:契約時から満了まで保険料が変わらないタイプです。

長期的な負担を見据えて、どちらの契約形態が自身のライフプランに適しているか判断しましょう。若いうちは定期型で安く抑え、子どもが独立したら終身型に切り替えるといった選択肢も考えられます。

加入前のチェック項目

保険に加入する前に以下の点を確認しておくと、より納得感のある選択につながります。

☑公的保障の内容を把握する

生命保険を検討する上で最も重要なのが、国から受けられる「公的保障」を理解することです。
日本の公的医療保険(高額療養費制度など)や、公的年金(遺族年金など)は非常に手厚く、これらでどの程度カバーできるかを把握しておけば、民間の生命保険でどのくらいの金額を備えておけばいいか明確になります。

☑保険料は家計に無理のない範囲か確認する

いくら必要な保障額を算出しても、毎月の保険料が家計を圧迫するようでは、長期的に契約を続けることが困難になります。現在の収入、支出、将来の貯蓄計画などを考慮し、無理なく、そして長く続けられる保険料であることを確かめましょう。

☑ライフステージの変化を想定する

人生には、子どもの成長、住宅ローンの完済、退職など、保障が必要なくなるタイミングや保障額を減らせるタイミングが必ず訪れます。将来のライフイベントを想定し、それに合わせて保障内容を調整できる柔軟性があるか、またその見直しが容易であるかを確認しておきましょう。

☑特約は安心と負担のバランスを考える

入院特約や先進医療特約など、主契約に付加できる特約は保障内容を充実させ、より大きな安心を得られるものです。
ただし、必要以上に追加すると保険料の負担が大きくなってしまいます。ご自身にとって本当に必要な保障は何か、その特約が保険料に見合う価値があるかを慎重に検討し、最適なバランスを見つけることが重要です。

まとめ:自分にぴったりの保険を見つけよう

掛け捨て型はシンプルだからこそ、自分に合ったものを選ぶことが重要です。漠然と選ぶのではなく、しっかりとポイントを押さえて比較検討することで、家計に無理なく、必要な保障を賢く手に入れることができます。
ここまでの内容を踏まえて、掛け捨て型保険を検討する際のポイントを整理します。

■掛け捨て型保険を選ぶときのポイント

  • 公的保障を理解した上で、必要な保障額をカバーする手段として有効。
  • 解約返戻金や満期金はないが、保険料を抑えながら必要な保障を効率よく確保できる。
  • 定期型の場合は、更新時に保険料が高くなる可能性がある。
  • ライフステージの変化に合わせて見直しがしやすい。
  • 資産形成はNISAやiDeCoなど別の金融商品と組み合わせて行うとより効果的。

一方、貯蓄型は「保障」と「資産形成」を両立できる保険であり、長期的な資金準備を重視する人に適しています。 どちらのタイプを選ぶかは、「今の生活と万一のリスクをどう守るのか」「将来の資産形成をどう進めたいのか」という、ご自身のライフプランや優先順位によって変わります。
大切なのは、自分や家族にとって何を重視するのかを明確にし、ライフステージに応じて定期的に見直すこと。そして、曖昧な情報に惑わされず、公的保障の内容も踏まえながら、賢く保険を選ぶことです。

ご自身だけで判断するのが難しいと感じたら、必要に応じて保険やお金の専門家であるファイナンシャルプランナーや、募集人に相談することも有効な手段です。納得できる生命保険を選ぶことが、将来の安心と現在の安定につながります。

清水 綾乃(しみず あやの)
監修 清水 綾乃(しみず あやの)

経歴:大学卒業後新卒で銀行に就職。資産形成の相談業務などを5年半行う。しかし、転勤があり担当が変わってしまうことでお客様のサポートを継続的にできないことに次第にジレンマを感じるようになり、お客さまが本当に安心できるように、転勤がなく長くお客さまの担当でいられる仕事がしたいと、転職を決意し2019年より現職へ。

現在では、FPとして2000名以上のお金の相談に乗り、公的年金の試算・キャッシュフロー表の作成・祖母の介護経験を活かした介護のお悩み相談などアドバイスは多岐に渡る。また、人気セミナー講師としても活躍中。大手航空会社、大手スポーツジム会員や従業員向け、大手コンビニ従業員向けなど多数登壇。

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