読了目安:8分

医療保険と生命保険(死亡保障)の5つの違いとは?迷ったときの判断軸を解説

医療保険と生命保険(死亡保障)、どちらを優先するべきか迷う方は多いでしょう。
この疑問は、「誰のために」「どんなリスクに備えるのか」という目的の違いを理解すると整理できます。
医療保険は、病気やケガによる治療費など、自分自身の医療費リスクに備える保険です。
一方、生命保険は、万一の際に遺された家族の生活を守るための資金を準備する保険です。
本記事では、仕組み・保障内容・公的保障との関係を踏まえながら、医療保険と生命保険の違いと必要性を解説します。

生命保険と医療保険の5つの違い

生命保険(死亡保障)と医療保険は、目的や保障の対象、受取人などに違いがあり、備えるべきリスクもそれぞれ異なります。
ファイナンシャルプランナーなど専門家の間では、生命保険(死亡保障)と医療保険の違いは、主に以下の5つの観点から整理されることが一般的です。

比較項目 生命保険(死亡保障) 医療保険
①目的 遺された家族のため 自分のため
②保険の対象 死亡・高度障害 入院・手術・通院など
③受取人 遺族(配偶者や子など) 原則、本人
④保険期間 一定期間(定期)または一生涯(終身) 一定期間(定期)または一生涯(終身)
⑤備えられるリスク 遺族の生活費、葬儀費用など 自身の病気やケガの治療費

生命保険(死亡保障)とは?~遺された家族を守るためのお金~

生命保険(死亡保障)は、被保険者が亡くなった場合や、高度障害状態になった場合に保険金が支払われる保険です。
主な目的は、遺された家族の生活を経済的に支えることにあり、生命保険を検討する際、専門家が重視するのは「遺された家族の生活に、どれだけのお金が不足するか」という視点です。

ただ、遺族年金や配偶者の収入、貯蓄額によっては、公的保障で一定程度カバーできるケースもあります。
そのため、公的保障や家計状況を確認せずに、必要以上に大きな死亡保障を用意してしまわないよう注意が必要です。

公的保障との関係

日本では、一定の要件を満たせば遺族年金が支給されます。
遺族基礎年金・遺族厚生年金は、公的年金制度に基づく生活保障ですが、家族構成や収入状況によっては十分とは言えないケースもあります。
そのため生命保険は、遺族年金などの公的保障で不足する分を補う役割として検討することが重要です。

生命保険の主な種類

生命保険は、保障の期間や仕組みの違いによって、主に次の3つの種類に分けられます。

  • 定期保険:一定期間の保障。保険料が比較的安く、子育て世代に向く
  • 終身保険:一生涯の保障。死亡保障+貯蓄性
  • 養老保険:保障と貯蓄を兼ねるタイプ

生命保険のメリット・デメリット

メリット

  • 自分に万が一のことがあった際、遺された家族にまとまった資金を遺せる。
  • 葬儀費用やお墓の購入費用など、死後の整理資金を準備できる。
  • 貯蓄性のある保険を選べば、将来のための資産形成も兼ねることができる。

デメリット

  • 自分自身の病気やケガによる入院・手術の費用は保障されない。
  • 必要以上に大きな保障を用意すると、保険料が家計を圧迫する可能性がある。

生命保険はこんな人におすすめ

  • 扶養する配偶者や子どもがいる方
  • 世帯収入を一人で支えている方
  • 葬儀費用などを自分で準備しておきたい方

▼より詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめ

なお、生命保険料を支払った場合には、一定額まで所得税・住民税の控除が受けられる「生命保険料控除」の制度があります。
生命保険料控除の項目は、国税庁の公式ページで詳しく確認できます。

医療保険とは?~自分の治療に備えるためのお金~

医療保険は、病気やケガで入院・手術・通院をした際に、給付金が支払われる保険です。
目的は、治療にかかる自己負担額を軽減することです。

公的医療保険制度(高額療養費制度)が前提

日本では国民皆保険制度があるため、医療費の自己負担は原則3割です。
さらに、医療費が高額になった場合でも、収入に応じて自己負担額に上限が設けられています(高額療養費制度)。
例えば、一般的な年収の方であれば、1ヶ月の自己負担限度額は約8万円前後が目安とされています。

つまり、医療保険は「すべての医療費を賄うもの」ではなく、この自己負担分や、保険適用外の費用(差額ベッド代など)に備えるための保険と考えると良いでしょう。

医療保険の主な種類

医療保険も、保険期間によって主に2つの種類があります。

  • 終身医療保険:一生涯の保障。保険料が一定
  • 定期医療保険:一定期間保障。更新時に保険料が上がる場合あり

医療保険のメリット・デメリット

メリット

  • 病気やケガによる急な入院や手術などの出費に備えられる。
  • 公的医療保険だけではカバーしきれない費用(先進医療の技術料など)にも対応できる。
  • 貯蓄が十分でない若いうちから、少ない負担で医療リスクに備えられる。

デメリット

  • 基本的に掛け捨てのため、貯蓄性はない。
  • 使わなかった場合でも、支払った保険料は戻ってこない。

医療保険はこんな人におすすめ

  • 貯蓄がまだ少ない若年層の方
  • 入院時の自己負担が不安な方
  • 働けない期間の家計リスクに備えたい方

なお、医療保険とあわせて検討されることが多いのが「がん保険」です。
医療保険とがん保険の違いや、どのように使い分けるべきかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

▼より詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめ

生命保険と医療保険、どっちも入るべき?

理想は両方に加入することですが、予算には限りがあります。
どちらを優先すべきかは、あなたのライフステージによって異なります。

ライフステージごとの考え方

【20~30代独身】
扶養家族がいない場合は、まずは自分自身が病気やケガで働けなくなった時のリスクに備え医療保険を優先し、自分の生活基盤を守ることが合理的です。
【30~40代既婚(子どもあり)】
家族がいる場合、自分に万一のことがあった際の影響が大きいため、生命保険の必要性が高まります。
【50代以降】
子どもが独立するなど、大きな死亡保障が不要になるケースも。保障内容を見直し、老後の医療費に備えて医療保険を充実させるなど、保険の見直しを検討する良いタイミングです。

どちらか一方しか選べない場合

もしどちらか一方しか加入できない場合は、「扶養家族がいるかどうか」を一つの判断基準にしましょう。
扶養家族がいるなら「生命保険」、いないなら「医療保険」を優先的に検討するのが合理的です。

まとめ

最後に、生命保険(死亡保障)と医療保険の違いについて、下記にそれぞれのメリットとデメリットをまとめています。

生命保険(死亡保障) 医療保険
メリット
  • 万一の際に、遺された家族の生活費や教育費を確保できる
  • 葬儀費用や整理資金など、死亡時に必要なお金に備えられる
  • 定期保険なら保険料を抑えて大きな保障を準備しやすい
  • 病気やケガによる入院・手術などの自己負担に備えられる
  • 貯蓄が少ない段階でも、医療リスクへの備えができる
  • 先進医療や差額ベッド代など、公的保障の不足分を補える
デメリット
  • 自分自身の病気やケガに対する医療費は保障されない
  • 扶養家族がいない場合は必要性が低くなることがある
  • 保障額を大きくしすぎると保険料が家計負担になりやすい
  • 基本的に掛け捨てで、使わなければ保障が残らない
  • 公的医療保険や高額療養費制度と重複すると過剰になる場合がある
  • 保障内容を広げすぎると割高になりやすい

生命保険(死亡保障)は、主に「遺された家族」のために、「死亡リスク」に備える保険。
医療保険は、主に「自分」のために、「病気やケガのリスク」に備える保険。

どちらの保険が自分に必要か、またどれくらいの保障が必要かは、人それぞれの状況によって異なります。
今回の記事を参考に、まずは「誰のために」「何に備えたいのか」を明確にすることから始めてみてください。

もし保険選びに迷ったら、専門家に相談してみるのも有効な手段です。自分と家族の未来を守るために、最適なプランを一緒に見つけていきましょう。

保険の選び方が分からないあなたへ保険のプロが無料で解決します
清水 綾乃(しみず あやの)
監修 清水 綾乃(しみず あやの)

経歴:大学卒業後新卒で銀行に就職。資産形成の相談業務などを5年半行う。しかし、転勤があり担当が変わってしまうことでお客様のサポートを継続的にできないことに次第にジレンマを感じるようになり、お客さまが本当に安心できるように、転勤がなく長くお客さまの担当でいられる仕事がしたいと、転職を決意し2019年より現職へ。

現在では、FPとして2000名以上のお金の相談に乗り、公的年金の試算・キャッシュフロー表の作成・祖母の介護経験を活かした介護のお悩み相談などアドバイスは多岐に渡る。また、人気セミナー講師としても活躍中。大手航空会社、大手スポーツジム会員や従業員向け、大手コンビニ従業員向けなど多数登壇。

公式SNSアカウント一覧

  • YouTube公式アカウント
  • X公式アカウント
  • LINE公式アカウント
  • Instagram公式アカウント
  • TikTokロゴ画像